ウォーリーの口から出まかせ

ウォーリーの耳ヲ貸スベキ

前回あわよくば終了してしまおうと思っていた杉江コラムでしたがそんな甘くはなく当然の続投です。

富樫ポジションにちゃっかり収まってる中さんが羨ましいです。
という事で題名も新たに心機一転していこうと思います。

そもそもステージセブン新聞というのは各々がクソどうでもいい事自由なテーマで書いているので麻雀荘なのに麻雀の話題がまったくないものになっています。

だからせめて自分だけは麻雀に絡めた内容にしようと考えていましたが、
我ながら肩に力が入ったような事を書いていたので正直しんどくなってきました。

今回から麻雀縛りも解いて緩い感じでやっていこうと思います。

セブン新聞を読んでると大概「知らんがな」と「どうでもいいわ」という感想しか出てこないのでそのコンセプトに沿って私のコラムも同じ読後感を持ってもらえたら幸いです。

さてタイトルが変わっても書くネタがない事には変わりませんがせっかくなので麻雀も絡めて、今回は僕の好きな麻雀映画を紹介したいと思います。

「SRサイタマノラッパー」

今まで音楽を題材にしてきた作品は多いです。それのどれもイケメン俳優が演じる主人公が音楽を通して成長していく物語ばかりでした。大抵リア充乙って感想なんですが、このサイタマノラッパーは一貫して音楽をかっこいい文化として描いていません。

終始まったくと言っていいほどかっこいいシーンなどありません。
ましてや主人公のIKKU(イック)は最後までダメ人間のままです。
でもただHIPHOPをバカにしているのではなく、監督のHIPHOPへの正しい理解度と深い愛情を感じさせてくれる作品になっています。

ではどこが麻雀映画かと言うと、HIPHOPが世間に持つ「気まずさ」。IKKUが抱いてる音楽をやる負い目。これが麻雀をやることとそのままリンクしてしまいます。

この映画は本当にこの「気まずさ」表現が秀逸です。

例えば市役所でやるライブシーン(あれをライブとは呼べないですが)HIPHOPを全く知らない人達の前でやるとどうなるか、見ているこっちが恥ずかしくなるような大惨事になる事が分かると思います。

これは劇中屈指の名シーンと言わざるを得ません。

基本的に低予算で作られた映画なので有名どころの役者さんはでてきませんが、主人公の幼馴染の千夏役として元AV女優のみひろが出演しています。

もし助演女優賞があるとするならば僕は彼女に贈りたいと思う。

千夏は元AV女優で地元のみんなから後ろ指さされながらも自分の夢に向かってまっすぐ突き進むIKKUとは対照的な役どころです。

千夏にデモテープを聞かせてと言われた時、「いや、これはまだ完成してなくて…」などと言い訳ばかりしてしまうIKKU。IKKUはなぜ千夏が怒っていたのかは分かっていなかった。

あの時千夏が言った「ダセェよ」って台詞は曲に対する感想ではなくIKKUの生き方自体に向けられたものだと思う。千夏は下手くそでもIKKUが一生懸命作った曲が聞きたかったはず。千夏はHIPHOPに直向きに没頭してる(と思ってた)IKKUに自分と同じシンパシーを感じていたのかもしれない。だけどIKKUは見栄や格好ばかり気にする。ダセェと吐き捨てた後の千夏のどこか寂しそうな表情が印象的でした。

そしてなんといってもサイタマノラッパーシリーズと言えばラストシーン。

ラストシーンはワンシーンワンカットの長回しの定点カメラで撮影されている。
これにより場面を俯瞰的な視点で見ることができ、より日常とHIPHOPの歪さが際立ってる演出になってると思います。
公共の場でいきなりフリースタイル(即興ラップ)をするIKKU。
周りの人間はみんな笑ってる。これがリアルな社会とのHIPHOPの距離感である。

「もっとワールドワイドに俺のメッセージを送りたいんだよ」

「政治や経済に対する怒りってやつをライムに乗せてさぁ」

とか言ってたIKKU。でもこれはIKKUの本当の言葉ではない。

千夏に幻滅されたのもIKKUのこういった部分だ。

そんなIKKUがあの場、あの瞬間、がむしゃらにありのままの自分の言葉で放たれた下手くそでクソダサいラップが最高にかっこよかった。

到底HIPHOPが生まれるべくもないような田舎の片隅で確かに本物のHIPHOPが生まれた瞬間だった。

本当に半径1メートル、目の前のたった一人にしか届かないけど、IKKUの言葉でしか、ラップという方法でしかTOM(音楽をやめたかつての仲間)の心には響かなかっただろう。

そこにごく自然とHIPHOPが存在し必要とされている空間がとても美しい。

その後、2、3、と続編が続いていくのですが、この新聞が発行されている頃にはドラマ版の放送も始まっていると思います。

このパターンで成功した試しがないのでドラマ版は期待してはいませんが、また彼らの

下手くそなラップが聴けると思うと楽しみではあります。
ちなみにオススメできる作品ではありません。
たぶんほとんどの人がおもしろいとは思わないでしょう。

あえて引用するならばまさに「俺たちだけに聴こえる特殊な電波」って感じで、

僕は5、6回見てますが毎回ラストシーンで涙が出てしまいます。

これを書いてる今もすでに半泣きです。

オタクが好きな事を語ってる時のあの独特の気持ち悪さが出てしまいましたが

今後はこんな感じで書いていこうと思います。

作者  杉江和哉

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